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穴 穴 (ハヤカワ・ミステリ 1104) 題名:穴 原題:Le Trou (1958) 作者:Jose Giovanni 訳者:岡村孝一 発行:ハヤカワ・ミステリ 1970.02.28 初版 1995.01.31 4刷 価格:\1000 脱獄を扱うエンターテインメントは映画や小説の世界で決して少なくはないだろう。どの作品にも共通するのはこのテーマが奏でる重低音。監禁されることの苦痛。管理された時間の閉塞性。悪党のたまり場であることからの緊張。看守も含めての暴行、懲罰という肉体的苦痛。面会というあまりにも刹那的な娑婆への接点。そうした設定自体が既に読者のサイドにあるからこそ、脱獄というテーマに取り組むとき、なんとなくうなじのあたりががざわめくような異質感を持ってしまう。そうしてページを開き始めるときが、収監のときというわけだ。 ぼくらはしかし、いつでも本を置いて日常に舞い戻ってくることができる。しかし本の中の主役たちの時間は永遠に続くかと思われるほど永く、終わりのない日々だ。そうした苦悩について本や映画の中で、作家たちが果たしてどう描いて来たかということを思う。この本を読んだとき、最初に出くわすのはそこの部分の衝撃であった。リアルな苦悩が丸裸にされて差し出された……こんな剥き出しの傷口……みたいな作品はそうない、と言っていい。 務所暮らしの苦悩を、さりげない切れ切れの文体のなかで、男たちの横顔に克明に浮かばせて見せた本はあまりないのだ。彼らは多くを語らぬ代わりに、寒さに震え、高い窓の向こうを見上げ、腕を組んでそれぞれの過去と会話をし、悔やみ、そして寝て、食うのだ。11-6番房の5人。5人がフィットして初めて脱獄の計画がスタートする。それぞれの違った表情を刻みながらの日々が時を打ち始める。 刑務所の俯瞰図があり、番号が事細かに打たれ、ストーリーに即した説明が記されている。文章と俯瞰図とをどれだけぼくの目が往復したことか。想像力。彼らの命を託した穴にめぐらす想像力と、ぼくの想像力がシンクロして匍匐前進をし、落盤を恐怖とともに味わい、破られる沈黙に身を震わせる。 何ともシンプルな脱獄。暗く穢いヨーロッパのおんぼろ刑務所の地下を舞台に、5人がただ挑むだけの物語。『生き残った者の掟』のマニュとローランがいる。 脱獄をテーマにすると、不思議と天使のように昇華する物語が世の中には確かにある。極限に振れてしまった振り子は、いずれもう一方の極限に振れるための力を貯える。生きる歓びを。人と人との繋がりを。燃えるための何かを。夢を。あるいは絶望を貯える。極限に振り切れてしまっている振り子は永遠に安定を欠いたものだろう。それがつまり、本書だ。 (2003.03.23)
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138 穴 sage 2010/05/12(水) 02 01 47 ID v9idzcxX 時計が、けたたましい悲鳴をあげた。 手探りに時計を探し当て、一叩きしてやる。習慣ゆえの行動だ。 悲鳴はすぐに止んだ。 日の光が瞼の暗幕を透かして、ぼんやりと意識の輪郭を浮かび上がらせる。 改めて時計のアラームを切り、縮こまった体と意識をベッドの上でほぐしていく。 そうして、ようやく私は目を覚ます。 時刻は、午前七時半。 代わり映えのしない、月末の朝だった。 だからこの日の朝も、私は常の行動に出たのだ。 南側の壁には、カラーボックスが幾つか積み上げられている。 その壁の向こうには、私の弟の部屋があるのだ。 私は、音を立てぬように、カラーボックスを一つずつ除けていく。 まず、何の変哲もない白い壁が現れ、さらに障害物を除けていけば、 無造作に貼り付けられたガムテープが現れる。 椅子を引き寄せ、腰を下ろす。 ガムテープを慎重にはがしていくと、直径2cmほどの穴が あんぐりと口を開いて、私を待ちかまえていた。 体は穴に自然と吸い寄せられる。 準備は整った。 観察を始めることにする。 穴の向こうは、薄暗かった。 カーテンの隙間から射す二本の斜光のおかげで、なんとか部屋の内容物が判別できる。 視界の左端を埋めるのは、本棚だ。 この薄暗い空間の中、ましてや本棚の影に塗りつぶされていれば、 向こうからこの穴が見つかる心配は、あまりない。 多少の見づらさも、我慢できるというものだ。 視界の中心に据わるのは、学習机とキャスター付きの椅子だ。 そして、私の観察対象は、いつもと変わらずそこにあった。 弟だ。 弟は、椅子にもたれかかったまま、微動だにしない。 机に向かってこそいるものの、本を読んでいるわけでも、 お得意のネットサーフィンをしているわけでもない。 ましてや、学生らしく勉強をしているはずもなかった。 現在の彼の状況を鑑みれば、それは明らかだ。 もう3ヶ月以上―――明日でちょうど4ヶ月、私は、弟の顔を見ていない。 私だけでなく、家族の誰とも、顔を合わせていないはずだ。 簡単に言ってしまえば、弟は引きこもりになってしまったのだ。 王様の背中は自分の城にいながら、随分と寂しそうだった。 その猫背気味の後ろ姿を見つめ、私は自然と唇を噛み締める。 このままではいけない。 ちょうどあの姿勢についても、一言注意してやらねばならない、 と思っていたところだ。 139 穴 sage 2010/05/12(水) 02 05 00 ID v9idzcxX かねてより思案していた行動を、今夜、実行することにしよう。 観察を始めて、もう30分以上が経過していた。 私は慌てて制服に着替え、鞄を手に、部屋を出る。 弟の部屋の前で立ち止まり、控えめにノックをするも、返事は無かった。 ちょうどその場に出くわした父が、深く溜め息をつき、首を振る。 諦めろ、ということらしい。 ―――お前達がそんな調子だから、私がやらなければならないんだ! そう叫びだしたくなる衝動をぐっとこらえ、私も溜め息を漏らす。 父と挨拶を交わすこともなく、私は居間へと向かった。 そこにはもう一人、私を苛立たせる人間がいる。 もちろん、そちらにも挨拶の一言すらかけてやるつもりはない。 今や、父も母も、弟に関わろうという気はこれっぽっちもないのだ。 ※ ※ ※ ※ ※ 味のしない朝食を詰め込むと、私はさっさと家を出て、 通学路をひたすら歩いていた。 いかにして弟を部屋から引きずり出すか、そればかりが頭の中で渦巻いている。 この通学路も本来ならば、弟と二人で歩くはずだったのだ。 だが、高校生活が始まってすぐに、彼は部屋に閉じこもってしまった。 何が原因で、私達はこうなってしまったのだろうか。 どうやって歩いてきたのかも定かではない。 とにかく、私は学校にたどり着いていた。 そして、校門の脇に一人の少女の姿を見つける。 先ほどまでの疑問の、その答えらしきものに思い当たる。 向こうも私の姿に気づいたようだった。 少女は、酷く傷ついた笑顔を浮かべて、「おはようございます」 と私に挨拶をした。 何故、彼女はそんな顔ができるのだろう。 考えうる限り、弟が閉じこもってしまったのは、彼女のせいだというのに。 弟と彼女が“そういう関係”になったのは、半年以上前のことだ。 近所同士で、小さい頃からの知り合いだっただけに、 二人が目に見える交際を始めた時の周囲の反応は、ようやくか、という なんともあっさりしたものだった。 ただ、私は知っていた。 この少女の内に秘めた貪欲な性根を、私だけは知っていた。 姉である私すらも敵視して、弟をどうにか手に入れようとする 彼女の心を、出会った当初から私は見抜いていた。 だから私は、弟にそれとなく、しかし幾度となく、忠告したのだ。 幼なじみだからといって、あまり彼女を信用してはいけない、と。 140 穴 sage 2010/05/12(水) 02 07 20 ID v9idzcxX 元々、おとなしい気性の持ち主である弟に、これ以上の我慢を 強いるのは、酷なことだと思ったのだ。 弟はいつでも笑いながら「大丈夫」と答える。 けれど、確かにあいつは以前よりワガママになったかもしれないね、 と苦笑する。 二人の関係は長続きしないだろう、という私の予想は、 それから少し経って現実のものとなった。 何が原因だったのかは、私にも分からない。 恐らく、彼女にも日々積もりゆく鬱憤があって、それが爆発した瞬間に、 偶然、私が居合わせた。 私につかみかかる少女と、負けじと言い返す私の間で、 迷子のように惑う弟。 この言い争いが行われたのは、私と目の前の少女が立っている場所だ。 私からの返事を待っているのか、彼女は、今も校門前に立ちすくんでいる。 弟だけがいない。 あなたのせいなのに。 最後に見た弟の怯えた顔が、瞼の裏に浮かび上がる。 本来なら、無言で立ち去るつもりだったけれど、嫌がらせに 一言くらい言っても、責められる謂われはないだろう。 ―――あの子、もうすぐ学校に来ると思うから。 あなたは気にしないでいいからね、と告げて、私は校門をくぐり抜けた。 彼女の顔がサッと青ざめるのを、横目で確認する。 いい気味だ、と胸の内で笑い、同時に「やはり、今日しかない」 と考える。 今夜、弟を部屋から出す。 どんなに抵抗され、恨まれようとも、それが弟のためなのだ。 背後で、彼女が何かを言いかけ、口を噤む。 もうこの娘には、何の感情も湧かなかった。 ※ ※ ※ ※ ※ その日の夕食の席も、酷く重苦しい雰囲気だった。 かつては、笑い声の絶えなかった団欒の席は、今や見る影もない。 父は不味そうに酒を煽り、時折、思い出したようにおかずをつつく。 母は、自分と皿の間で機械的に箸を往復させる。 私は二人を眺めて、機を窺う。 そろそろだろうか。 ねえ、と私が言葉を発すると、居間の空気が強張った。 ―――あの子のこと、そろそろ考えなくちゃいけないと思うの。 父の顔を見つめる。 母は隣でがっくりと頭を垂れ、肩を震わせ始めた。 ―――お母さん、泣いていたって仕方ないじゃない。 口調を和らげて、私は母に向き直る。 あの子の為に、やらなくちゃいけないと思うの、 と辛抱強く語りかける。 母は答えない。顔を上げることもしない。 もう止しなさい、と父が言い放つ。 141 穴 sage 2010/05/12(水) 02 09 16 ID v9idzcxX ―――いつまでこうしているつもりなの。 自然、私の語気は荒くなる。 ―――あの子を閉じこめて、どうするつもりなの。 父は首を振るばかりで、何も答えない。 「もうやめてあげて」 母が嗚咽混じりに、言葉を吐き出した。 「もう、そっとしてあげて」 違う、と私は叫ぶ。 あの子は、あの部屋の中にいても、癒されてなんかいない。 夜も寝ずに、何かに怯え、朝を待ち続けている。 ―――あなたたちには頼らない。 その言葉だけを残して、私は階段を駆け上がる。 弟の部屋の前に立ち、出てきてちょうだい、と懇願する。 返事は無かった。 ドアを叩いても、部屋の中からは、物音一つ返ってこなかった。 ドアノブを回し、部屋に入る。 弟は居なかった。 机もベッドも、以前と寸分変わりなくそこにあるというのに、 一番大事な要素が欠けていた。 「もう、眠らせてあげよう」 いつの間に追いついたのか、父の手が肩に添えられる。 弟がいない。 どうしていないのだろう。 ―――いつから、いないの。 4ヶ月前だよ、と耳元で囁かれる。 疲れ果てた母の声だった。 私の記憶が4ヶ月前に遡る。 私と彼女が言い争った日だ。 校門前で二人を見つけた私が、彼女に詰め寄る。 私は、弟にも詰め寄った。 ―――あれだけ、言って聞かせたじゃない。 ―――どうして私の言うことが聞けないの。 ―――私に従っていればいいの。 弟は苦しそうな表情で、私の罵声を浴びていた。 そして、弟は駆け出した。遅れて、私も駆け出す。 そして、目の前を車が通過した。 弟は瞬く間に私の前から消え去り、次に私の目に映った時には、 ぴくりとも動かなかった。 ―――死んだの。 父は答えなかった。 肩の上で握り込まれた拳の震えは、私の頭をざわつかせた。 今朝、彼女は校門前で何をしていたのだろう。 じっと立ち尽くし、彼女は何を思っていたのだろう。 私はこんな大事なことを、どうして忘れてしまっていたのだろう。 記憶は、弟の死から1ヶ月後に飛ぶ。 やはり、私はこうやって弟の部屋で呆然としていた。 その1ヶ月後も、今も。 私が何よりも欲しかったものは、とうに消えてなくなっていた。 ―――弟は閉じ込められてなんかいなかった。 閉じ込められていたのは、私自身だった。 唇を割って、言葉にならない何かが飛び出した。 142 穴 sage 2010/05/12(水) 02 11 13 ID v9idzcxX 父と母に縋り、床に向かって力尽きるまでわめきちらし、 体から、あらゆる悲鳴が抜け落ちたころ、私の体は揺れだした。 伝わる振動は、誰の震えなのかも分からない。 私自身なのだろうか。 それとも父か。 母だろうか。 整然とした床の線は、少しずつぼやけていき、私の意識もそれに従う。 これは何かの冗談なのだ。夢なのだ。 意識が途切れるまで、ひたすらそれを反芻していた。 ※ ※ ※ ※ ※ 目覚まし時計が、起床時刻を告げていた。 意識は未だ霧の中をさ迷っていて、目も瞑ったままだというのに、 私の手は、喚き続ける時計を正確に一叩きしていた。 改めて時計のアラームを切り、縮こまった体と意識をベッドの上でほぐしていく。 そうして、ようやく私は目を覚ます。 時刻は、午前七時半。 代わり映えのしない、月初の朝だった。 この日の朝も、私は常の行動に出たのだ。 積み上がったカラーボックスを静かに除け、露わになった ガムテープを剥がす。 私は、小さな穴を覗き込む。 視界の左端を遮る本棚。 中央に鎮座する机と椅子。 それを覆い隠す人影。 ―――なんだ、やっぱりいるじゃない。 意図せずして、口の端がせり上がるのが分かった。 あと20分程は彼の姿を眺めていられそうだ。 弟が部屋に閉じこもって、今日で丁度4ヶ月になる。 そろそろ、彼を外に出してあげなければならない。 それがあの子の為なのだ。 私はそう決意して、部屋を出る。 そして、弟の部屋のドアをノックした。 「おはよう」 元より期待はしていなかったけれど、やはり彼からの返事はなかった。 私のその姿を見て、父が深く溜め息をついた。 いい加減にしてくれ、とでも言う風に。 終
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第578話:穴 作:◆5Mp/UnDTiI 分かってはいたつもりだったんだがな。 出雲・覚は顔を伏せ、真新しい盛り土を見つめている。 H-1境内。襲われることもなく辿り着けたが、それを取り立てて幸運と喜べるような目的でここまできたのではない。 社務所の物置から発掘した古びたスコップとシャベル。 それぞれを出雲とアリュセの二人で分担し、仕事にかかったのが21時過ぎ。今からおよそ一時間前。 穴を掘り、再度埋める。元より高くなった部分の土が、その穴の中に埋められた故人の存在を主張している。 新庄・運切。かつての仲間。仲間だったモノ。現・物言わぬ死体。 死ねば、人はそれまでだ。霊魂は存在するのかもしれないが、それは出雲の認識する領分ではない。 死ねば終わる。何もかも一切、根こそぎにして終わる。 あとはその死体を燃やそうが腑分けしようが、故人は泣き叫びもしない。 だから埋葬という行為は生者の為だけに存在する。 そして故人と親しかった者にとっては、その行為は儀式となる。 単に生の肉の塊を放置するのが不衛生だという理由だけで埋葬を行うのなら、それは面倒な労働に過ぎない。 それ以外の意味があるから葬は儀式として成立する。 死者に囚われ続けることがないように、未練を断ち切るための儀式。 そしてそういった儀式を必要とする者がいるということは、未練というものが断ち切り難いものであるからに他ならない。 出雲が土葬の痕からなかなか目が離せないのはそのせいだ。 アリュセは心配そうにそんな出雲を見上げている。墓から目を逸らせずとも気配でそれは知れた。 (分かっていたつもりだったんだがなぁ。あんな啖呵切っといて、実際はこの様か) ……情けねえ。 聞こえないようにそう呟いて、出雲は区切るように大きく息を吐いた。言い聞かせるように、言葉を浮かべる。 死は覆らない。 ――わかっている。 彼女は永遠に土の下。 ――分かっている。 もう、二度と会えない。 ――分かってるっつってんだろが。 胸中で吼え、出雲は無理やり引き剥がすように顔を上げた。 それも、彼に必要な儀式だった。寂しさとそれに付随する未練がましさを断ち切るための。 あるいは、それから目を逸らすための。 「――もう、いいんですの?」 「長過ぎたくらいだ」 放置していたスコップを足先でどけながら、出雲は頷いた。そう、時間は使えない。 無駄なことに使える時間はおろか、大切なことに割く分すらも足りてはいない。 「んで、あの放送についてどうするかだけどよ。どう思う?」 ダナティア・アリール・アンクルージュによって行われた演説。 無言で穴を掘りながら、彼らはそれを聞いていた。 埋葬を終えた今、次に取り掛かるべき問題だ。アリュセは自分の中でまとめていた考えを述べた。 「『理由』は断定できませんわね。可能性だけで語れば、それこそ幾らでも邪推は出来ますし。 だけど『目的』だけは一目瞭然ですの。 あんな放送をすれば、なにはともあれ注意を引くのは自明の理でしょうから――」 「人は集まる、か。佐山並みの目立ちたがり屋だな、ありゃ」 「ええ。詐欺師か、指導者か。少なくとも人前で宣まうことに慣れている人物でしょう。 そして集まったのが子猫だろうが人食い虎だろうが対処できる自信、つまり戦力もある」 空に向けて放たれ、暗雲を消し飛ばした閃光。力の誇示。 言って、アリュセは思案した。 放送を行った集団の真意は分からない。それこそ実際に会ってみなければ。 推察するべきは、あの放送に他の参加者がどういった反応を示すかだ。 素直に放送の主と接触を求める者―― 放送を信じるなら、あの集団の人数は12名。 この悪趣味な状況を鑑みれば、奇跡的な大集団だ。おそらくこの島で最も情報と人材を保持している。 同じ世界から参加させられた仲間を探している者からしてみれば、思わず接触を求めたくなる魅力的な団体だ。 逆に、『優勝』を目指す者からしてみれば殺しておきたいところだろう。これ以上の大集団となる前に。 あるいはあの周辺に罠を張り、集まる者を歯牙にかけようとてぐすね引いて待とうと画策する者もいるかもしれない。 結論として――参加者は島の中心部に集中する。 島の外周であるこの辺りならば、人に会う確率は減るだろう。 「人探しをするんなら、とりあえず中心を目指すのが得策ですわね。 後はそのタイミングをどうするか。 あの集団、ないしはその周辺で戦闘やトラブルが起きるのは決して低い確率ではないですの」 「安全策を取るなら、しばらく様子見ってのが定石だわな。だが……」 「ええ、覚の探し人がそのトラブルに巻き込まれる可能性も考えられます」 言われて、出雲はふむんと顎に手を当てた。 「まずは落ち着いて考えてみるか。危険と効率、どっちを取るかって話だ。」 考えてみる。危険と効率。両者を天秤に乗せ、不確定情報を加味し、カオス理論にバタフライ効果も―― 知っているそれらしい単語を並べて、それらをすぐに放棄した。どの道、確率論に過ぎない。ならば選択すべきは単純明快。 「そうだな……とりあえず近くまで行こう。で、実際に会ってみるのは0時の放送の後でいいんじゃねーか?」 「まあ、妥当なところですわね。実際に何人かの集団だとして、旗頭はおそらくあの演説の主。 そのダナティアという人が放送で呼ばれなければ、その集団は存続しているとみていいでしょう」 取ったのは中庸案。危険も効率も半々。 一応の結論が出たことに出雲は満足そうに頷いた。そして、付け足す。 「そうだな。あとそれと、もう一個だけ分かることがあるぞ」 「なんですの?」 「あそこに佐山の馬鹿はいねえっぽいな。いれば絶対マイクの取り合いになるだろうし」 「……そうですか」 なにやら疲れたように方を落とすアリュセを見て、出雲は頷いた――穴を掘って埋めるのは大変な労力だ。 あるいは、途中で休憩を挟むことも必要だろう。その為の癒しグッズも気の利く自分は用意してある。 お供え物として備える用以外にもいくつかデイパックに放り込んでおいたソレ系の本の重さを肩に感じながら、出雲は歩き出した。 アリュセもそれに倣い――そして、小さく囁いてきた。 「ねえ、覚?」 「あ、なんだ?」 「貴方の身体って、無駄に大きいですわね?」 「無駄ってなんだよ。千里の愛力に耐えうる為の適切な進化と呼べ」 だがそんな出雲の言葉に、アリュセはつっこまなかった。 ただ一言。震えもしない平坦な声で、告げる。 「穴を掘るのが大変そうですから、死なないでくださいね?」 出雲は立ち止まった。数歩送れてそれに倣ったアリュセの後姿を見つめる。 彼女の顔を見もせずに、ただ頭の上に手をぽんとのせた。 どんな顔をしているのかは想像できた。きっと、自分も同じような顔をしているだろうから。 埋葬は死を意識させる。だがそれは埋葬された当人の死だけに限らない。過去の死だけに限らない。 こんな剣呑な状況であればなおさら、次に起こる『死』が連想される。自分と親しい者の死が。 アリュセがいた世界からの知り合いは全員死んでしまった。 だがそれでもなおアリュセにとって死んで欲しくない人物は存在する。 出雲の元いた世界からの仲間は残り二人。だが、この舞台において彼が死を願わない人物はそれよりも多い。 出雲・覚は眼前の少女を見る。手の平に感じる柔らかな髪の感触。 僅かに感じる脈動は、血液を送り出す不随筋によるものか、果てまた連想した未来に対してのものか。 (重いな、ほんと……) こっそりと、胸中で息を吐く。 手の中にある彼女の身体は新庄よりも一回り小さいが、それでも―― ――俺だって、穴を掘るのはもうごめんだ。 【H-1/境内/1日目・22:00頃】 『覚とアリュセ』 【出雲・覚】 [状態]:左腕に銃創(止血済) [装備]:スペツナズナイフ/エロ本5冊 [道具]:支給品一式(パン4食分・水1500ml)/炭化銃/うまか棒50本セット [思考]:千里、ついでに馬鹿佐山と合流 /クリーオウにあったら言づてを/ウルペンを追う/アリュセの面倒を見る 【アリュセ】 [状態]:健康 [装備]:なし [道具]:支給品一式(パン5食分・水2000ml) [思考]:覚の人捜しに付き合う/できる限り他の参加者を救いたい /クリーオウにあったら言づてを/ウルペンを追う/覚の面倒を見る ※新庄の死体をH-1境内に埋葬しました。
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総合力 ★ 連携力 ★ 所属人数 普通 初心者育成 自分たちが初心者 厨房度 ★★★ 勝ち馬属性 無し 問題児 多数 ○主な部隊員 ノイトラ ダウ ナエシ 月下の旅人と仲がイイ部隊らしいが、もう少し向上心を持ってほしいところ。
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穴 (16穴) 編集 手の三陰経 肺経 孔最(こうさい) 尺沢から橈骨茎状突起に向かって下がること3寸、前腕前面の外側。なお、尺沢穴は肘窩横紋上で上腕二頭筋腱の外側。 心包経 門(げきもん) 大陵の上方5寸で前腕前面の中央で橈側手根屈筋と長掌筋との間。なお、大陵穴は手関節前面横紋の中央で、橈側手根屈筋腱と長掌筋腱との間。 心経 陰(いんげき) 神門の上方5分、前腕前面の内側、尺側手根屈筋腱の外側。なお、神門穴は手関節前面横紋の内側で豆状骨の上際。 足の三陰経 脾経 地機(ちき) 内果の上方8寸、陰陵泉の下方5寸、脛骨の内側縁。なお、陰陵泉穴は脛骨内側顆の直下の陥中。 肝経 中都(ちゅうと) 内果の上方7寸で脛骨の内面。 腎経 水門(すいもん) 太谿(内果の後方5分)の下方1寸。 手の三陽経 大腸経 温溜(おんる) 陽谿の上方5寸、陽谿と曲池との中間。なお、陽谿穴は橈骨下端の直下で、長母指伸筋と短母指伸筋との間の陥凹部。曲池穴は肘窩横紋の外方で、上腕骨外側上顆の前。 三焦経 会宗(えそう) 支溝の内方1寸で小指伸筋と尺側手根伸筋との間。なお、支溝穴は陽池の上方3寸で、指伸筋腱と小指伸筋腱との間。陽池穴は手関節後面横紋の中央で、指伸筋腱と小指伸筋腱との間。 小腸経 養老(ようろう) 陽谷の上方1寸で、尺骨頭と尺骨茎状突起との間の陥中。なお、陽谷穴は手関節の後面で、尺骨茎状突起直下の陥中、尺側手根伸筋腱の内側。 足の三陽経 胃経 梁丘(りょうきゅう) 膝蓋骨外上角の上方2寸、大腿の前外側、大腿直筋と外側広筋との間 胆経 外丘(がいきゅう) 陽交の後方で、長腓骨筋とヒラメ筋との間。なお、陽交穴は外果の上方7寸で、腓骨の前縁。 膀胱経 金門(きんもん) 申脈の前下方で踵立方関節の外側陥凹部。なお、申脈穴は外果の下方5分。 陰脈 交信(こうしん) 復溜と脛骨内側縁との中間。 なお、復溜穴は太谿の上方2寸でアキレス腱の前。 太谿穴は内果の後方5分。 陰維脈 築賓(ちくひん) 太谿の上方5寸で腓腹筋とヒラメ筋との間。なお、太谿穴は内果の後方5分。 陽脈 陽(ふよう) 崑崙の上方3寸でアキレス腱の前。 なお、崑崙穴は外果とアキレス腱との間。 陽維脈 陽交(ようこう) 外果の上方7寸で、腓骨の前縁。
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ダム穴 だむあな 【その他の単語】 09-03-22最終更新 random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 「ダム穴」とは、余水の排水のためにダム湖の水面に生じる穴の愛称。または、この穴を生じさせる施設の愛称。 不思議な光景から、ダムマニアの趣味対象のひとつになっている。 以下の写真のように、ダム湖の水面にラッパ状の穴が生じることがある。 blankimgプラグインエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 (Wikipediaより引用) この奇怪な光景は、CGや合成ではなく、ダムの付属施設により生じるものである。 すなわち、湖底から水道管が伸び、上部はラッパ状に口を開けている。この開口部に湖水が落ちることで、このようになっている。 ダムには溢水を防ぐために余水を排水する設備が必要である。その方法のひとつがこれで、湖底から一定の高さまで水道管を伸ばし湖底側はダムの下流側へとつないでおくことで、ダムの湖水がこの水道管の高さを越えると水が落ちて排水される仕組みになっている。この設備を英語では、ラッパ状の開口部をアサガオ(moning GLORY)に例えて「グローリー・ホール」というそうである。 なお、全てのダムにあるわけではなく、ダム本体に排水路があるダムにはこの設備は不要なので設置されない。日本のダムにはむしろ少ないらしい。 blankimgプラグインエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 これがダム穴の「正体」(Wikipediaより引用) ダム穴はグローリー・ホールによりまさに排水されている水によって湖水に生じている穴である。 この「水に開いた穴」という奇妙な光景はダムマニアを魅了し、知らない者には「どこにつながっているのだろう?」という不可思議を提供してやまないはずである。 あの先は 二次元・ダンジョン あるいはいずこ 落ちていく水 湧き立つ想像 動画検索 「ダム穴」でタグ検索 「ダム穴」でキーワード検索 上位分類タグ ダム (タグ検索 → 検索結果) 関連タグ 「ダム」の含まれるタグの一覧 → 検索結果 random_imgエラー:ご指定のファイルがありません。アップロード済みのファイルを指定してください。 動画 sm2660097『ダム穴』 part1 http //www.nicovideo.jp/watch/sm2660097 sm6390334ダム穴 GLORY HOLE http //www.nicovideo.jp/watch/sm6390334 た行の単語一覧にもどる 「その他の単語」関連の単語の一覧にもどる トップページにもどる - -
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読み あなはちまんぐう 正式名称 別名 和了り飜 1飜 牌例 三四五七九456(9)(9)ロン八ポン西西西 解説 嵌八萬待ちでのあがり。 成分分析 穴八幡宮の39%は果物で出来ています。穴八幡宮の26%はやさしさで出来ています。穴八幡宮の19%は気合で出来ています。穴八幡宮の15%は勇気で出来ています。穴八幡宮の1%は成功の鍵で出来ています。 下位役 上位役 複合の制限 採用状況
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絡穴 (15穴) 編集 体幹 任脈 鳩尾(きゅうび) 臍の上方7寸、胸骨体下端の下方1寸。 督脈 長強(ちょうきょう) 尾骨先端と肛門との間。 脾の大絡 大包(だいほう) 腋窩中央の下方6寸で中腋窩線上。 手の三陰経 肺経 列缺(れっけつ) 手関節横紋の上方1寸5分で前腕前面の外側、動脈拍動部のやや外側。 心包経 内関(ないかん) 大陵の上方2寸で、橈側手根屈筋腱と長掌筋腱との間。。 なお、大陵穴は手関節前面横紋の中央で、橈側手根屈筋腱と長掌筋腱との間。 心経 通里(つうり) 神門の上方1寸、尺側手根屈筋腱の外縁。なお、神門穴は手関節前面横紋の内側で豆状骨の上際。 足の三陰経 脾経 公孫(こうそん) 第1中足骨底の内側で、太白の後方1寸。 なお、太白穴は第1中足指節関節の後内側。 肝経 蠡溝(れいこう) 内果の上方5寸で脛骨の内面。 腎経 大鐘(だいしょう) 太谿の下方5分で踵骨の上際、アキレス腱の前。なお、太谿穴は内果の後方5分。 手の三陽経 大腸経 偏歴(へんれき) 陽谿の上方3寸、橈骨の後外側。なお、陽谿穴は橈骨下端の直下で、長母指伸筋と短母指伸筋との間。 三焦経 外関(がいかん) 陽池の上方2寸で、指伸筋の内縁。 なお、陽池穴は手関節後面横紋の中央で、指伸筋腱と小指伸筋腱との間。 小腸経 支正(しせい) 陽谷の上方5寸、尺骨後面のほぼ中央。なお、陽谷穴は尺骨茎状突起後面の下際陥中で、尺側手根屈筋腱と小指伸筋腱との間。 足の三陽経 胃経 豊隆(ほうりゅう) 外果の上方8寸、条口の外側、長指伸筋と腓骨との間。なお、条口穴は三里の下方5寸。 三里穴は腓骨頭の直下と脛骨粗面下端との中間。 胆経 光明(こうめい) 外果の上方5寸で、腓骨の前縁。 膀胱経 飛陽(ひよう) 崑崙の上方7寸で、(外側の)腓腹筋とヒラメ筋との間。なお、崑崙穴は外果とアキレス腱との間。
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穴八幡宮 穴八幡宮・御朱印帳 東京都新宿区西早稲田2-1-11